日本BLS協会では、病院機能評価に対応した二次救命処置プログラム「SCALSコース」も用意しています。

SCALSコース:目指すべきスキルと行動の体系化


1. コース全体の目的

「急変時に自信を持って行動する力を育む」

  • 急性期の心停止に対して、医師が来るまでの最初の10分間に必要なチーム対応スキルを修得し、適切に医師に引き継ぎ、患者の予後を改善することを目指します。

2. コースの学習領域

2.1. 判断力を鍛える

  • 適切な対応の開始:
    • 心停止の兆候をいち早く察知し、適切なタイミングで蘇生を開始する判断力を養います。
  • 原因検索スキル:
    • 治療可能な心停止の原因を知り、迅速な原因検索と看護師でも可能な対応を実践します。

2.2. 技術力を磨く

  • 基礎技術の習得:
    • 質の高いBLS(胸骨圧迫・人工呼吸)を確実に実施。
    • AEDの操作を安全かつスムーズに行う。
  • 高度技術の実践:
    • 心電図波形(VF、VT、PEA、Asystole)を正確に評価し、適切な電気ショックを安全に実施。
    • 状況に応じた気道管理(バッグマスクなど)の選択と実施。

2.3. チームスキルを高める

  • チームダイナミクス:
    • チーム全体で役割を分担し、円滑に蘇生を進めるコミュニケーションスキルを培います。上級職への引き継ぎはSBAR(エスバー)を活用します。

2.4. 総合スキルの統合

  • 薬剤投与の応用:
    • 医師の指示を引き出し、状況に応じた薬剤(アドレナリンなど)の投与を正確に行う。
  • 気道確保の精度向上:
    • 気道確保の状態を適切にモニタリングし、効果を継続的に評価。

3. 受講者が習得する行動能力

即応能力

  • 急変時に迅速な判断を下し、BLSやAEDを組み合わせて初期対応を開始できる。

安全管理

  • 自分および患者の安全を確保しつつ、電気ショックや気道管理を実施。

スムーズなチーム連携

  • チームの一員として、自身の役割を果たしながら他のメンバーと協調的に行動。

臨床推論

  • 心停止の原因を推測し、対応を適切に変更しながら継続的に蘇生を進める。

4. まとめ

SCALSコースは、「判断力」「技術力」「チーム力」を総合的に高め、医療現場における急変対応を支えるリーダーシップを身につけるプログラムです。このスキルは、看護職が安心して急変に立ち向かうための基盤となります


スケジュール例

SCALSコースディレクター 1名
SCALSインストラクター  2名
※コースディレクターは質の管理に努める。インストラクターは、各ブースで指導を担当する。インストラクターが不慣れなときは補助員を付けることも出来る。
受講生          グループA 6名、 グループB 6名

時間内容
~9:00受 付
9:00~9:30開会の言葉・コース概説全体セッション
スキルセッション(計90分)
9:30~10:15BLS/AEDグループに分かれる
10:45〜11:00チームダイナミクス統合スキルグループに分かれる
11:00~11:45休 憩
〜11:45二次受付
シナリオセッション(計135分)
11:45~12:00心停止アルゴリズム確認全体セッション
12:00~13:00心停止シミュレーション実践1グループに分かれる
13:00:〜14:00心停止シミュレーション実践2グループに分かれる
試験(計30分)
14:10~14:20試験の説明全体セッション
14:20~14:40メガコードテストグループに分かれる
14:40~15:00修了式全体セッション

シナリオ例

1. 胸痛からショック適応の心停止へ: AED利用

ナースコール→主訴:ひどい胸痛発作→RRTコール→持参薬のニトログリセリンの服薬補助→心停止→CPR開始→スタッフ到着→役割分担→医師へコール→AEDを装着→電気ショック→CPR継続(二分間)→AEDが再解析→ショック不要→CPR継続 終了

2. 呼吸困難から呼吸停止、そしてショック非適応の心停止へ

ナースコール→主訴:ひどい呼吸困難→RRTコール→持参薬のエピペンの服薬を補助→呼吸停止→陽圧換気開始→スタッフ到着→役割分担→医師へコール→モニター付き除細動器を装着と換気継続の指示を受ける→陽圧換気(二分間)→再解析→ショック不要→CPR継続 終了

 問い合わせ info2009@blsjapan.com